自分がかかりたい病院を作る

職員が家族を連れてきたい病院を作る

患者さんが友達を紹介したい病院を作る

医療を行うにあたり、色々な理念が思い浮かぶと思います。高度な医療技術、患者のため、安全、安心、真心などきれいな言葉が思い浮かびます。全ての思いを一つの言葉に集約しそれを実感させるのは難しいです。私は自分がかかりたいと思う病院を作ることを理念として考えます。全てを含んで判断される内容だからです。

ある知人の話です。
義父が病気（末期の癌で高熱）で入院した時のことです。40度の高熱がありベッドで義父が苦しんでいる時、義母が不安になり廊下を歩いている医療スタッフに熱のことを訴えました。その医療スタッフは振り返り「それがどうしたのですか？」と冷たく（義母は怖かったそうです）答えたそうです。義母はそれから医療スタッフに病状を聞くのが怖くなったとの事でした。恐らくその医療スタッフは義父の担当ではなく、また高熱の患者は他にもおり珍しいことでは無かったのでしょう。疲れていたのかもしれません。でも他に答えようがあったと思います。義母がその後医療スタッフと話すのが怖くなるような受け答えの病院は心がこもった対応をしているとは思えません。

もう一つ。
田舎に住んでいる友人の父親が脳梗塞で倒れた時のことです。かかりつけ医を受診する前に電話で相談を受けた知人は脳梗塞を疑い、その事を母親に伝えました。かかりつけ医の外来で血圧が185/110程度でした。かかりつけ医は胸の音を聞き大丈夫、血圧も200までは大丈夫で問題ないから家で寝てればいいと母親に伝えました。母親はやはり心配で他院にMRI検査を受けさせに行きました。そこで新たな脳梗塞とその原因となりえる頸動脈病変及び不整脈（心房細動）を指摘されたそうです。その後紹介を受け入院しました。そこでは2.5ｃｍの肺癌（検診で引っかかったため過去1年間に2回胸部レントゲンをそのかかりつけ医で受けていたそうです）も指摘されました。安心してかかれる病院はそんなに多くないのかもしれません。医療技術が高くても優しさが欠けていたり、医療技術はおろかきちんと患者さんの訴えに向き合って診察をしない医師（病院）がいることはとても残念なことです。

以上の2つは実話です。
私は患者さんが来て良かった、ずっと診てもらいたいと自然に思うような医療を目指し、日々努力してまいります。